業界の流れ
弊社の主要顧客は自動車関連会社が多く、その業界を通じて産業の移り変わりを感じることが多いです。
私がこれまで感じた技術革新をテーマとした業界の大きな流れは次のような感じかと思います。
※個人的な所感なので予めご容赦ください。
1.排ガス規制に伴う低エミッション化への技術革新
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2.リーマンショック頃から燃費向上、CO2排出量低減を目的とした技術革新
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3.持続可能な世界を目指した技術革新
上述にあります技術革新を推進するために新たな技術を取得しようと研究開発が盛んになり、それに比例して設備投資も盛んになります。
この流れの中で弊社も紆余曲折しながら現在に至っております。
私がオンタイムで経験した事を不躾ながら書き留めますと…
【2.リーマンショック頃から燃費向上、CO2排出量低減を目的とした技術革新】
この頃から試験環境の高精度化について強く要請を受け、潮目が変わってきたことを覚えています。試験環境を高精度に保つことは試験の再現性に貢献し、効率試験などを目的とした試験では大変重要視されるようです。
開発者は微細な外部要因を排除したうえで少しでも燃費向上やCO2排出量低減を目的に繊細な開発という名の戦いを行っていたようです。
弊社に要求された顧客からの外部要因例を列挙しますと
イ)油においては
ヒーターの加熱による性状変化、体積膨張・収縮による油面変動、エアレーションのケアなど
ロ)水系であれば
低温~高温にわたる広範囲の温度制御、温度応答性の向上、キャビテーションのケア(高水温での制御時などは特にポンプ吸い込み口で発生し易い)
ハ)空調、チャンバーにおいては温湿度の分布、応答性の向上、人体への有害な特定化学物質に対するケア
などがありました。
更に業界別、製品別に鑑みると特に重要視されるポイントがいろいろとあり、悩ましくも面白い事が沢山あります。
業界別では自動車に限らず、最近では二次電池の研究開発が特に目覚ましく、この業界についても次回以降に触れていきたいと思います。
【3.持続可能な世界を目指した技術革新】
このテーマに於いてはガソリンなどの化石燃料を使用しないことが前提となっており、これまでと違った動力源を開発し、環境負荷を低減することにより持続可能な世界を目指す潮流になっています。
化石燃料を使用する内燃機関の代替えにFC(燃料電池、FCV)やバッテリー(EV)を用いた動力源が昨今賑わっておりますが、その歴史は浅く、まだまだ研究開発の余地があるため設備投資は旺盛で盛んです。
また先述のFC、バッテリーを用いた動力源は内燃機関に比べて排熱量が少なく、熱をどのように生み出し、またその熱をどのように有効利用(業界では熱マネジメントと呼ばれているようです)するのかが課題として挙げられ、動力源の研究開発以上に話題になることが多く、顧客からのご要求は大変厳しいものがあります。
(熱マネジメントで言えばテスラ社のオクトバルブと呼ばれるシステムなどは昔に無かったシステムで、大変興味深いものがあります。)
また内燃機関に対して使用する燃料を化石燃料から水素やバイオ燃料に変更するなどの試みも行われており、この先どのタイプの動力源が主となるのかまだまだ分からない状況です。
何れにせよ我々設備メーカーに対して更なる高精度な要求が出てくることは間違い無いと思われます。